クレジットカードを申し込む際、勤務先情報の記入に悩む方も多いのではないでしょうか。「派遣社員だけど、派遣元と派遣先どっちを書くの?」「フリーランスの場合、勤務先欄はどう書けばいい?」「在籍確認で会社にバレないか心配」など、様々な疑問や不安を抱えて、申込み自体をためらってしまうケースも少なくありません。
本記事では、クレジットカード申込み時の「勤務先」の正しい書き方について、会社員・派遣社員・アルバイト・学生・主婦・個人事業主・年金受給者など、あらゆる雇用形態別に詳しく解説します。さらに、在籍確認の実態や勤務先バレを防ぐ対策まで、具体例とチェックリスト付きでご紹介していきます。
この記事を読めば、あなたの状況に合った勤務先情報の書き方がわかり、安心してクレジットカードを申し込めるようになるはずです。
1. クレジットカード申込みの「勤務先」はなぜ重要?審査との関係
1.1 勤務先情報が審査で見られる理由
クレジットカードの審査では、「その人が毎月きちんと支払いを続けられるか」という返済能力と、安定した収入があるかという継続性が最も重視されます。勤務先情報は、申告された年収とあわせて「本当に安定した収入がありそうか」を判断するための重要な材料となっています。
具体的には、以下のような観点から勤務先情報が評価されます。
- 会社の規模や安定性:大企業や公務員は安定性が高いと判断される
- 勤続年数:長く勤めているほど収入の継続性が見込める
- 雇用形態:正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどの雇用形態
- 業種・職種:業界の安定性や職種の専門性
これらの情報を総合的に見て、カード会社は「この人にカードを発行しても大丈夫か」を判断しています。
1.2 虚偽記載のリスクと在籍確認の存在
過去には架空の勤務先を名乗ってクレジットカードを申し込む不正もあったため、カード会社は「本当にその勤務先に在籍しているか」を確認する在籍確認を行うことがあります。
虚偽の勤務先や、古い勤務先情報をそのまま書いてしまうと、以下のようなリスクがあります。
- 審査で不審に見られ、カード発行が見送られる
- 信用情報に悪影響を及ぼす可能性がある
- 今後の金融取引で不利になる
そのため、勤務先情報は必ず正確に、そして最新の情報を記入することが重要です。
1.3 「勤務先を書きたくない」という不安の背景
「勤務先に電話されたくない」「会社にクレジットカードを作ったことがバレたくない」という不安を持つ方は非常に多くいます。特に以下のような理由から、勤務先情報の記入をためらう方がいます。
- 会社の規定でクレジットカードの申込みを報告する必要がある
- 同僚や上司に私的な金融取引を知られたくない
- 在籍確認の電話対応が面倒
- 副業や転職活動中で現在の勤務先に知られたくない
ただし、こうした不安があっても、虚偽の勤務先を書いたり、情報を省略したりすることは絶対に避けるべきです。正しい対策については、後の章で詳しく解説します。
2. 申込みフォームの勤務先欄でよくある項目と基本ルール
2.1 よくある入力項目一覧
主要なクレジットカード会社の申込みフォームでは、おおむね以下のような勤務先関連項目の記入が求められます。
| 項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 勤務先名 | 株式会社〇〇、〇〇株式会社△△支店など正式名称 |
| 部署名・役職 | 営業一課、総務部、店長、主任など |
| 勤務先電話番号 | 代表番号または部署の外線番号 |
| 勤務先住所 | 都道府県から番地・ビル名までの正式住所 |
| 業種・職種 | 製造業・サービス業、事務職・営業職など |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど |
| 勤続年数 | 〇年〇か月など在籍期間 |
| 年収(税込) | 源泉徴収票や収入明細に基づく年間収入額 |
これらの項目は、一見バラバラに見えますが、「安定収入があり、申込内容に矛盾がないか」を総合的に見るために使われます。カード会社は、これらの情報を信用情報機関のデータや他社での申込履歴と照合して、整合性をチェックしています。
2.2 記入時の基本ルール
勤務先欄を記入する際は、以下の基本ルールを必ず守りましょう。
会社名・屋号の書き方
- 登記や公式サイトに準拠した正式名称で書く
- 略称や通称ではなく、正式名称を使用する
- 株式会社の場合、「前株」「後株」も正確に記入する
- 例:正しい ✓「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」
- 例:誤り ✗「〇〇会社」「〇〇」
住所の書き方
- 都道府県・市区町村・番地・建物名まで、略さず公式表記に合わせる
- マンション名や階数も正確に記入する
- 「丁目」「番地」「号」なども省略しない
電話番号の書き方
- 代表番号か本社番号を優先する
- 直通番号しかない場合は、備考欄で補足する
- 携帯電話番号は避け、固定電話を記入する
勤続年数の書き方
- 入社日からの実際の期間を記入する
- 切り上げや概算ではなく、正確な年月を記入する
- 転職した場合は、現在の勤務先での勤続年数を書く
年収の書き方
- 手取りではなく税込年収ベースで記入する
- 直近の源泉徴収票や確定申告書と整合させる
- ボーナスも含めた年間の総収入を記入する
勤務先や年収の情報は、他社カードやローン申込み履歴、信用情報機関のデータとも照合されるため、一貫性が非常に重要です。過去に他のカードやローンを申し込んだ際の情報と大きく異なると、審査で不審に思われる可能性があります。
3. 雇用形態別:勤務先・職業欄の正しい書き方
ここからは、実際に迷いやすい雇用形態ごとに「勤務先はどこを書くか」「職業欄はどう選ぶか」を詳しく解説していきます。
3-1. 会社員・公務員の場合
基本的な書き方のポイント
会社員・公務員は、多くのカード会社が「安定した収入源」とみなす典型的な属性です。正確な勤務先記入ができていれば、審査上の評価は比較的高くなりやすい傾向にあります。
記入のポイント
- 勤務先名:登記上の正式名称(例:〇〇株式会社/株式会社〇〇)
- 部署名:人事や総務など、社内表記どおりの名称
- 電話番号:代表番号または本社代表、もしくは所属拠点の代表番号
在宅勤務・リモートワークの場合
在宅勤務やフルリモートで働いている場合でも、雇用契約上の勤務先法人とその代表番号を書くのが基本です。自宅の住所や電話番号を書く必要はありません。
- 勤務先名:雇用契約を結んでいる会社の正式名称
- 勤務先住所:会社の本社または所属拠点の住所
- 勤務先電話番号:会社の代表番号
転勤や支社勤務の場合
転勤があっても、グループ会社・支社で同一法人なら、法人としての正式名称を維持します。住所・電話番号は現在所属している拠点に合わせておくと整合性がとれます。
例
- 勤務先名:株式会社〇〇(本社も支社も同じ法人名)
- 勤務先住所:現在勤務している支社の住所
- 勤務先電話番号:現在勤務している支社の代表番号
3-2. 派遣社員・契約社員の場合
派遣社員の基本的な書き方
派遣社員の場合、多くのカード会社や金融機関は「雇用契約を結んでいる派遣元(派遣会社)」を勤務先として扱うのが原則です。これは、雇用主が派遣元である以上、返済能力の安定性を見るうえでも、派遣元情報を基準にするためです。
| 項目 | 記入の考え方 |
|---|---|
| 勤務先名 | 登録・雇用されている派遣会社名(例:〇〇スタッフィング) |
| 勤務先住所 | 派遣会社の本社または登録拠点の住所 |
| 勤務先電話番号 | 派遣会社の代表番号または登録拠点の代表番号 |
| 備考 | 実際の就業先(派遣先企業名・勤務地)を簡潔に補足すると丁寧 |
派遣先を書くべきケース
一部のカード会社では、申込み画面上で「派遣元/派遣先どちらを書くか」を明示していることがあります。その指示がある場合は、必ずその指示に従いましょう。
また、長期の派遣契約で派遣先での勤務実態が明確な場合、備考欄に派遣先の情報を補足することで、より詳細な勤務状況を伝えることができます。
契約社員の場合
契約社員の場合は、原則として直接雇用している会社名を勤務先に書きます。契約期間や更新見込みなどを問われた場合は、正直に回答することが大切です。
3-3. パート・アルバイトの場合
基本的な書き方
パート・アルバイトも、継続して収入があればクレジットカードの審査対象になります。基本は「実際に雇用されている店舗・企業名」を勤務先として書きます。
具体例
コンビニアルバイトの場合
- 勤務先名:〇〇株式会社(チェーン運営会社)または「〇〇コンビニ△△店」
- 企業サイトの表記どおりに記載する
飲食チェーンの場合
- 勤務先名:運営会社名(例:株式会社〇〇レストラン)
- 勤務先住所:実際に勤務している店舗の住所
個人経営店の場合
- 勤務先名:店舗の屋号
- 勤務先住所:店舗住所
- 勤務先電話番号:店舗の電話番号
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、以下の基準で主な勤務先を選びます。
- 勤務時間と収入が多い勤務先を基準に選ぶ
- 長く働いているほうの勤務先を優先する
- 年収欄には、すべてのアルバイト収入を合算して記入する
例えば、週4日働いているカフェと週1日のコンビニバイトを掛け持ちしている場合は、カフェを主な勤務先として記入し、年収欄には両方の収入を合わせた金額を記入します。
年収欄は、複数アルバイトの合算年収を基準に、税金や保険の計算で用いる税込ベースで申告するのが一般的です。
3-4. 学生(高校生・大学生)の場合
アルバイトをしていない学生の場合
学生は、職業欄で「学生」と選択します。アルバイトをしていない場合の記入方法は以下の通りです。
- 職業欄:「学生」を選択
- 勤務先欄:入力不要または「なし」
- 年収欄:0円または仕送り額(カードによって異なる)
多くのクレジットカード会社では、「学生専用カード」などで学生の収入状況を前提にした審査を行っているため、アルバイト収入がなくても申し込める場合があります。
アルバイトをしている学生の場合
アルバイトをしている学生の場合は、以下のように記入します。
- 職業欄:「学生」を選択
- 勤務先名:アルバイト先の企業名・店舗名
- 勤務先住所:アルバイト先の住所
- 勤務先電話番号:アルバイト先の電話番号
- 年収欄:アルバイト収入の年間合計(税込)
学生の場合、アルバイト収入や仕送り状況を別途聞かれる場合もあります。その際は、正直に記入しましょう。
就職内定済みの場合
就職内定済みの場合でも、まだ入社前であれば勤務先として内定先を書くことはできません。これは、現時点ではその会社の従業員ではないためです。
内定済みの学生は、以下のように記入します。
- 職業欄:「学生」のまま
- 勤務先欄:現在のアルバイト先(アルバイトをしている場合)
- 備考欄:必要に応じて「〇月に就職予定」と補足
3-5. 専業主婦(主夫)・パート主婦の場合
専業主婦(主夫)の場合
専業主婦(主夫)の場合、クレジットカードによっては「本人に収入がなくても、配偶者に安定収入があれば申込可能」としている商品があります。
記入方法
- 職業欄:「専業主婦(主夫)」を選択
- 勤務先欄:空欄または「なし」
- 年収欄:0円または世帯年収(カードによって異なる)
- 配偶者の年収欄:配偶者の年収を記入(項目がある場合)
専業主婦(主夫)向けのカードでは、配偶者の年収や勤務先情報を記入する欄が設けられている場合があります。その場合は、配偶者の同意を得た上で、正確な情報を記入しましょう。
パート主婦(主夫)の場合
パートで収入がある主婦(主夫)は、自分の勤務先情報を記入します。
記入方法
- 職業欄:「パート・アルバイト」を選択
- 勤務先名:パート先の企業名・店舗名
- 勤務先住所:パート先の住所
- 勤務先電話番号:パート先の電話番号
- 年収欄:自分の年間収入額(税込)
カードによっては、配偶者の収入を参考情報として聞かれることもあります。その場合は、世帯収入として整合的な数字になるように意識しましょう。
3-6. 個人事業主・フリーランスの場合
屋号がある場合
個人事業主やフリーランスは、「勤務先=自分の事業」となります。屋号がある場合は、以下のように記入します。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 職業欄 | 「自営業」または「個人事業主」を選択 |
| 勤務先名 | 屋号(例:〇〇デザイン事務所、△△コンサルティング) |
| 勤務先住所 | 事務所の住所(自宅兼事務所の場合は自宅住所) |
| 勤務先電話番号 | 事業用の電話番号(固定電話がない場合は携帯電話) |
屋号がない場合
屋号がない個人事業主の場合は、以下のように記入します。
- 勤務先名:自分の氏名+「個人事業主」または「自営業」
- 例:「山田太郎 個人事業主」「田中花子(自営業)」
または、業種を明記する方法もあります。
- 例:「Webデザイナー(個人事業主)」「ライター(フリーランス)」
勤務先住所の考え方
勤務先住所は、事業形態によって以下のように記入します。
自宅兼事務所の場合
- 自宅住所を記入
- 確定申告で事業所所在地として届け出ている住所
外部オフィスを借りている場合
- レンタルオフィスやシェアオフィスの住所
- コワーキングスペースを主な活動拠点としている場合は、その住所
バーチャルオフィスの場合
- カード会社によって扱いが異なる
- 実態のある事業拠点として認められない場合がある
- 申込前に規約やQ&Aを確認することをおすすめ
フリーランス(請負型)の場合
フリーランスで複数の企業と請負契約を結んでいる場合、主な取引先名を勤務先として書く必要はありません。自分の事業情報をベースに記入します。
- 勤務先名:屋号または「フリーランス(職種名)」
- 年収欄:確定申告書に基づく年間所得
3-7. 年金受給者・無職・休職中の場合
年金受給者の場合
年金受給者や退職者は、以下のように記入します。
- 職業欄:「無職」または「年金受給者」を選択
- 勤務先欄:「なし」または空欄
- 収入源:「年金」を選択(項目がある場合)
- 年収欄:年金の年間受給額
ただし、年金のみでのクレジットカード申込みは、カードごとに審査基準が異なります。商品概要で「年金受給者可」と明記されているかを事前に確認する必要があります。
無職・休職中の場合
無職・休職中の場合は、返済能力の面で審査が厳しめになる傾向があります。
- 職業欄:「無職」を選択
- 勤務先欄:空欄
- 年収欄:0円または貯蓄からの収入
直近で退職したばかり、または休職から復職予定といった場合に、無理に申込みを繰り返すと、申込情報だけが信用情報に残って不利になる可能性があります。安定収入が見込めるタイミングまで待つ選択も検討したほうが安全です。
4. 在籍確認とは?勤務先に電話がかかってくる条件と内容
4.1 在籍確認の目的と仕組み
クレジットカードの在籍確認とは、申込者が申告した勤務先に本当に在籍しているかを、主に電話で確認する手続きです。
在籍確認の目的
- 申込内容に虚偽がないかを確認する
- 返済能力の前提となる勤務先情報に問題がないかをチェックする
- 架空の勤務先を使った不正申込みを防ぐ
ただし、在籍確認は必ずしも全員に実施されるわけではありません。以下のような要因によって、実施の有無が決まります。
4.2 在籍確認が実施される条件
在籍確認が実施されるかどうかは、以下の要因によって変わります。
在籍確認が実施されやすいケース
- 初めてそのカード会社に申し込む場合
- 申込内容に不審な点や矛盾がある場合
- 勤務先情報が不明確な場合
- 信用情報に問題がある場合
- キャッシング枠を高く設定した場合
- 年収が勤務先の規模と比べて高すぎる場合
在籍確認が省略されやすいケース
- 同じカード会社で以前にカードを作ったことがある場合
- 勤務先情報が前回の申込時と変わっていない場合
- 申込内容が信用情報と整合している場合
- 即時審査・デジタル発行のカードの場合
- キャッシング枠を0または低く設定した場合
4.3 在籍確認の電話内容
在籍確認の電話は、非常にシンプルで短時間で終わることがほとんどです。
電話の流れ
- カード会社の担当者が個人名で電話をかける
- 「〇〇(申込者の名前)さんはいらっしゃいますか」と尋ねる
- 本人が電話に出るか、「席を外しています」などの返答があれば在籍確認完了
- 電話は数十秒程度で終わる
重要なポイント
- 担当者は個人名で名乗り、カード会社名は名乗らない
- 「クレジットカードの在籍確認」とは言わない
- 同僚に対してもカード申込みの件とは明かさない
- 本人が不在でも、在籍していることが確認できれば完了
そのため、同僚や上司にクレジットカードの申込みが特定されることは少ないとされています。
4.4 在籍確認の電話に出られない場合
万が一、在籍確認の電話に出られなくても、以下のような対応で在籍が確認できれば問題ありません。
- 同僚が「席を外しています」と答える
- 「本日は休みです」と答える
- 「外出中です」と答える
これらの返答があれば、「その会社に在籍している」ことが確認できるため、在籍確認は完了します。
5. 勤務先にバレたくない人のための対策と注意点
5.1 虚偽の勤務先を書くリスク
勤務先に電話がかかること自体に抵抗を感じ、「できるだけ在籍確認は避けたい」「絶対にバレたくない」と考える人は多くいます。
しかし、在籍確認を避けるために虚偽の勤務先や架空の会社名を書くことは、以下のような重大なリスクがあります。
虚偽記載のリスク
- 審査で不審に見られ、カード発行が見送られる
- 信用情報に「虚偽申告」として記録される可能性がある
- 今後のクレジットカードやローンの審査に悪影響を及ぼす
- 場合によっては詐欺罪に問われる可能性もある
虚偽の勤務先を書くことは、短期的にはバレを防げるかもしれませんが、長期的には大きな不利益を被ることになります。
5.2 在籍確認の確率を下げるコツ
在籍確認の負担を下げる現実的な工夫としては、以下のようなポイントが挙げられます。
申込内容の正確性を高める
- 勤務先名・住所・電話番号・勤続年数・年収を正確にそろえる
- 信用情報や他社申込履歴と矛盾がないようにする
- 源泉徴収票や在籍証明書などの書類を準備しておく
審査負荷を抑える設定にする
- キャッシング枠を0または低めに設定する
- 利用限度額を控えめに設定する
- リボ払いの設定をしない
在籍確認が軽めのカードを選ぶ
- 即時審査・デジタル発行のカードを選ぶ
- 「原則勤務先への在籍確認電話なし」と明記しているカードを選ぶ
- ネット系カードや流通系カードを検討する
電話番号の記入方法を工夫する
- 代表番号や本社番号を勤務先電話として記入する
- 個人直通回線は避ける
- 総務や人事など、外部からの電話に慣れている部署の番号を記入する
5.3 正しい対策の考え方
重要なのは、勤務先を「書かない」「ごまかす」のではなく、「正式名称と代表番号で正しく書いたうえで、在籍確認の心理的負担を下げる」方向で考えることです。
正確な勤務先情報を記入することで、かえって在籍確認が省略される可能性も高くなります。カード会社は、申込内容に不審な点がなければ、わざわざ在籍確認をする必要がないと判断するためです。
6. ケース別Q&A:迷いやすい勤務先の書き方具体例
Q1. 代表番号がわからない・部署直通しかない場合は?
A. 企業サイトの会社概要ページや採用情報ページには、代表電話番号が掲載されていることが多いので、そこから確認して入力するのが実務的です。
小規模な事業所で代表番号が存在せず、部署直通しかない場合は、以下のように対応します。
- その番号を勤務先電話として記入する
- 備考欄に「小規模拠点のため直通番号のみ」と補足する
- または、カスタマーサポートに事前に相談する
代表番号がない場合でも、正直に状況を説明することで、カード会社は適切に対応してくれます。
Q2. 転職直後・内定のみ・試用期間中の勤務先は?
転職直後の場合
転職したばかりのときは、「現在勤めている会社名と、実際に在籍している期間(勤続年数)」をそのまま書く必要があります。
- 勤務先名:現在の会社の正式名称
- 勤続年数:現在の会社での勤続期間(例:3か月)
- 前職の年数と合算しない
勤続年数を長く見せたいからといって、前職の勤続年数と合算して書くのは、他社ローンやクレジットの情報と矛盾しやすく、かえって不信につながります。
内定のみの場合
内定のみでまだ入社していない場合は、「現時点ではその会社の従業員ではない」ため、勤務先として内定先を書くことはできません。
- 現在の職業(学生・無職・前職など)を正直に記入する
- 内定先を勤務先として書くことはできない
- 入社後に改めて申し込む
試用期間中の場合
試用期間中も、契約上はすでに在籍しているので、現在の勤務先として問題なく記入できます。
- 勤務先名:現在の会社の正式名称
- 勤続年数:試用開始日からの期間
- 雇用形態:「正社員(試用期間中)」などと補足してもよい
Q3. 副業・複数の仕事がある場合、どの勤務先・年収を優先する?
正社員+副業の場合
正社員として本業がある場合は、以下のように記入します。
- 勤務先欄:本業の会社名を記入
- 年収欄:本業と副業を合算した年間収入
例えば、本業で年収400万円、副業で年収100万円の場合、年収欄には500万円と記入します。
複数のアルバイトの場合
複数のアルバイトを掛け持ちの場合は、以下の基準で決めます。
- 勤務時間・収入・勤続年数が最も大きい勤務先を基準にする
- 年収欄にはすべてのアルバイト収入を合算して記入する
Q4. 勤務先が変わった場合、既存のカードの情報更新は必要?
A. 転職や独立など、勤務先が変わった場合は、既存のクレジットカード会社にも勤務先変更の届け出を行う必要があります。
変更届けが必要な理由
- カード会社は定期的に与信管理を行っている
- 勤務先情報が古いままだと、更新時や増額審査時に不利になる
- 信用情報との整合性を保つため
多くのカード会社では、会員サイトやアプリから簡単に勤務先情報を変更できます。転職後は速やかに変更手続きを行いましょう。
7. 審査に通りやすくするための勤務先情報のチェックリスト
クレジットカード申込み前に、以下のチェックリストで勤務先情報を確認しましょう。
7.1 勤務先情報の整合性チェック
申込み前に、以下の項目を確認してください。
会社名の確認
- [ ] 法人登記や公式サイトの表記と一致しているか
- [ ] 「株式会社」の位置(前株・後株)は正確か
- [ ] 略称や通称ではなく正式名称を使っているか
- [ ] 名刺や雇用契約書の表記と一致しているか
住所の確認
- [ ] 最新の勤務地住所になっているか
- [ ] 本社と支社を混同していないか
- [ ] 都道府県・市区町村・番地・建物名まで正確に記入したか
- [ ] マンション名や階数も記入したか
電話番号の確認
- [ ] 代表番号または拠点代表の番号か
- [ ] 古い番号のままになっていないか
- [ ] 固定電話の番号を使っているか
- [ ] 個人の直通番号になっていないか
勤続年数の確認
- [ ] 入社年月から計算して正確な年数か
- [ ] 端数を切り上げていないか
- [ ] 前職の年数と混同していないか
- [ ] 試用期間も含めた実際の在籍期間か
年収の確認
- [ ] 最新の源泉徴収票の金額に近いか
- [ ] 税込年収で記入しているか(手取りではない)
- [ ] ボーナスも含めた年間総収入か
- [ ] 副業収入も含めた合算額か
7.2 信用情報との一貫性チェック
過去の申込み情報との整合性
- [ ] 以前のローン・カード申込み時の勤務先情報と大きく違っていないか
- [ ] 転職している場合、前回の申込みから整合的な変化か
- [ ] 年収が前回申込み時と比べて大幅に増減していないか
カード会社への変更届け
- [ ] 転職や独立後に、各カード会社に勤務先変更届けを出したか
- [ ] 既存カードの登録情報は最新の勤務先に更新されているか
申込み履歴の確認
- [ ] 短期間(6か月以内)に複数社へ申込みを繰り返していないか
- [ ] 申込情報が多すぎて「申し込みブラック」になっていないか
7.3 書類の準備
審査をスムーズに進めるため、以下の書類を準備しておくことをおすすめします。
準備しておくとよい書類
- 源泉徴収票(最新のもの)
- 給与明細書(直近3か月分)
- 在籍証明書(会社から発行してもらう)
- 雇用契約書のコピー
- 個人事業主の場合:確定申告書のコピー
これらの書類は、在籍確認の代替手段として提出を求められることがあります。事前に準備しておくと、審査がスムーズに進みます。
8. まとめ:勤務先情報は「正確さ」と「一貫性」が審査通過の近道
8.1 雇用形態別のポイントおさらい
クレジットカード申込みにおける「勤務先」情報は、安定収入と返済能力を判断するベースとなるため、どの雇用形態であっても「嘘をつかず、最新・正式な情報を一貫して記入する」ことが最も重要です。
雇用形態別の重要ポイント
会社員・公務員
- 登記上の正式名称を使う
- 在宅勤務でも会社の代表番号を記入
- 転勤しても法人名は変わらない
派遣社員
- 原則として派遣元(派遣会社)を記入
- 備考欄に派遣先を補足すると丁寧
- カード会社の指示がある場合はそれに従う
アルバイト・パート
- 実際に働いている店舗・企業名を記入
- 掛け持ちの場合は収入の多い方を選ぶ
- 年収は全ての収入を合算する
学生
- 職業欄は「学生」を選択
- アルバイトをしている場合はその情報を記入
- 内定先は勤務先として書けない
主婦(主夫)
- 専業の場合は配偶者の年収を記入
- パートの場合は自分の勤務先を記入
- 世帯収入として整合的な数字にする
個人事業主・フリーランス
- 屋号がある場合はそれを記入
- 屋号がない場合は「氏名+個人事業主」
- 事業実態のある住所を記入する
年金受給者
- 職業欄は「年金受給者」を選択
- 勤務先欄は「なし」でよい
- 年金額を年収として記入
8.2 在籍確認への正しい対応
勤務先にバレたくない場合も、「勤務先を書かない・ごまかす」のではなく、以下のような正しい対策を取ることが重要です。
正しい対策
- 申込内容を正確にそろえて矛盾をなくす
- キャッシング枠を0または低めに設定する
- 在籍確認がソフトなカード会社を選ぶ
- 代表番号を使って記入する
やってはいけないこと
- 虚偽の勤務先を書く
- 架空の会社名を使う
- 友人や知人の会社を無断で書く
- 古い勤務先情報をそのまま使う
8.3 審査通過のための最終アドバイス
クレジットカードの審査に通りやすくするためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
審査通過のポイント
- 正確さを最優先する
- すべての情報を正確に記入する
- 公式書類と照らし合わせて確認する
- 不明な点はカスタマーサポートに相談する
- 一貫性を保つ
- 他社への申込み情報と整合させる
- 信用情報と矛盾しないようにする
- 既存カードの情報も更新しておく
- 属性に合ったカードを選ぶ
- 自分の雇用形態に適したカードを選ぶ
- 学生なら学生向けカード
- 主婦なら主婦向けカード
- 個人事業主なら審査基準が柔軟なカード
- 無理な申込みを避ける
- 短期間に複数のカードに申し込まない
- 収入に見合った限度額を設定する
- 不安がある場合は安定してから申し込む
8.4 不安が強い人へのアドバイス
それでも在籍確認や審査に不安がある方は、以下のような選択肢を検討してください。
おすすめの選択肢
- 「原則在籍確認なし」と明記しているカードを選ぶ
- 即時発行・デジタル発行のカードを選ぶ
- 自分の属性(学生・主婦・フリーランスなど)に特化したカードを選ぶ
- キャッシング枠を0に設定して申し込む
- カスタマーサポートに事前に相談する
クレジットカードの申込みは、正確な勤務先情報の記入から始まります。この記事で紹介したポイントを参考に、自分の状況に合った正しい書き方で申し込むことで、審査通過の可能性を高めることができます。
最も重要なのは、「正確さ」と「一貫性」です。嘘をつかず、最新の正しい情報を記入することが、結果的に最も安全で確実な審査通過の近道となります。