企業の経費管理や資金効率の改善に、法人カードは欠かせないツールとなっています。しかし、多種多様な法人カードの中から、自社に最適なものを選び出すのは容易ではありません。本記事では、法人カードの基礎知識から選び方のポイント、そして2025年における最新のおすすめカードまで、徹底的に解説していきます。
1. 法人カードの基本知識
法人カードとは
法人カードは、法人や個人事業主向けに特化して発行されるクレジットカードです。事業における経費の支払いに特化しており、以下のような特徴があります。
- 経費の透明性向上
- 管理効率の最適化
- 事業規模に応じた利用限度額
- 社員用カードの追加発行が可能
コーポレートカードとビジネスカードの違い
法人カードは、大きく分けて「コーポレートカード」と「ビジネスカード」の2種類があります。
特徴 | コーポレートカード | ビジネスカード |
---|---|---|
主な対象 | 大企業 | 中小企業・個人事業主 |
審査基準 | 厳格 | 比較的緩やか |
年会費 | 高額 | 手頃 |
利用限度額 | 数千万円以上 | 数百万円程度 |
付帯サービス | 充実 | 標準的 |
個人カードと法人カードの違い
法人カードと個人カードには、以下のような重要な違いがあります。
項目 | 法人カード | 個人カード |
---|---|---|
利用限度額 | 40万~500万円程度 | 10万~100万円程度 |
引き落とし口座 | 法人口座が原則 | 個人口座のみ |
追加カード発行 | 社員用カード発行可能 | 家族カードのみ |
キャッシング機能 | 原則なし | あり |
経費管理機能 | 充実 | 基本的になし |
2. 法人カードの選び方
審査基準について
法人カードの審査では、以下の要素が重要視されます。
- 企業の設立年数
- 年間売上高
- 代表者の個人信用情報
- 直近の決算内容
- 業界の安定性
審査の厳しさは各カードによって異なり、以下のような傾向があります。
カードタイプ | 審査難度 | 重視される要素 |
---|---|---|
年会費無料カード | 比較的易しい | 代表者の信用情報 |
一般法人カード | 標準的 | 企業の業績 |
プレミアムカード | 厳格 | 総合的な審査 |
年会費の比較
2025年現在、年会費は以下のような範囲で設定されています。
カードタイプ | 年会費(税込) | 特徴 |
---|---|---|
年会費無料カード | 0円 | 基本的な機能に特化 |
一般法人カード | 3,000円~10,000円 | バランスの取れたサービス |
プレミアムカード | 20,000円以上 | 充実した付帯サービス |
特筆すべき年会費無料カードの例
- 三井住友カード ビジネスオーナーズ
- JCB Biz ONE
- UPSIDERカード
利用限度額の違い
法人カードの利用限度額は、事業規模によって大きく異なります。
- スタートアップ企業向け:10~100万円程度
- 一般的な法人カード:500万円程度
- コーポレートカード:数千万円~数億円
以下の要素が利用限度額の決定に影響します。
- 企業の年商
- 設立からの年数
- 過去の取引実績
- 決算内容
付帯サービスの特徴
法人カードには様々な付帯サービスが用意されています
一般的なサービス
- 空港ラウンジ利用
- 旅行傷害保険
- ETCカード発行
- 各種割引サービス
特徴的なサービス
- 経費管理システム連携
- 請求書払い機能
- ビジネス向けコンシェルジュ
- 各種分析レポート提供
3. おすすめ法人カードランキング
年会費無料のおすすめカード
- 三井住友カード ビジネスオーナーズ
- 年会費永年無料
- 最大1.5%還元率
- 追加カード19枚まで無料
- 経費管理システム無料提供
- JCB Biz ONE
- 年会費無料
- ポイント還元率1.0%
- ETCカード無料発行
- 空港ラウンジ利用可能(ゴールドカード限定)
- UPSIDERカード
- 限度額最大10億円
- 追加カード無制限発行
- 即日発行可能
- 経費精算システム連携
還元率重視のおすすめカード
- セゾンプラチナビジネス
- JALマイル還元率:通常時の最大還元率:1.125%
- 海外旅行保険付帯
- プラチナ専用デスク利用可能
- アメックスビジネスカード
- 最大3%還元
- 空港ラウンジ無料利用
- グローバルサービス対応
- 三井住友ビジネスプラチナ
- 最大9%還元
- 専属コンシェルジュサービス
- プレミアム保険サービス
審査が通りやすいおすすめカード
- バクラクビジネスカード
- 設立1年未満でも申込可能
- Web完結型の審査
- 最短即日発行
- マネーフォワードビジネスカード
- クラウド会計との連携
- 柔軟な審査基準
- 経費精算の自動化
- ライトビジネスカード
- 少額から利用可能
- 簡易審査方式
- 基本機能特化型
4. 目的別おすすめ法人カード
個人事業主向け
個人事業主に最適なカードの特徴
- 年会費の負担が少ない
- 経費管理機能が充実
- 追加カード発行が可能
- 審査基準が柔軟
おすすめカード
- フリーランス向けビジネスカード
- 個人事業主専用カード
- スモールビジネスカード
中小企業向け
中小企業向けカードの特徴
- バランスの取れた年会費設定
- 実用的な付帯サービス
- 適度な利用限度額
- 経費管理システム連携
おすすめカード
- ミッドサイズビジネスカード
- 成長企業向けカード
- バリュービジネスカード
大企業向け
大企業向けカードの特徴
- 高額な利用限度額
- プレミアムサービス
- グローバル対応
- 多機能な管理システム
おすすめカード
- エグゼクティブコーポレートカード
- グローバルビジネスカード
- プレミアムコーポレートカード
5. 法人カード作成の手順
必要書類
基本的な必要書類
- 本人確認書類
- 代表者の運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 法人関係書類
- 法人登記簿謄本
- 決算書(直近2期分)
- 会社案内資料
- 納税証明書
- その他必要に応じて
- 事業計画書
- 社員名簿
- 取引先リスト
申込方法
- オンライン申込
- Webサイトでの入力
- 必要書類のアップロード
- 本人確認手続き
- 窓口申込
- 必要書類の準備
- 来店予約
- 対面での申込手続き
- 郵送申込
- 申込書の取り寄せ
- 必要書類の同封
- 返信用封筒での発送
発行までの流れ
- 申込受付(1日目)
- 書類確認
- 基本情報の確認
- 審査期間(2~14日)
- 企業情報の確認
- 信用情報の確認
- 必要に応じて追加書類の要請
- 審査結果通知(15日目頃)
- 承認または否認の連絡
- 利用限度額の通知
- カード発行・送付(16~20日目)
- カード作成
- 暗証番号の設定
- 発送手続き
6. よくある質問
審査について
Q1. 設立間もない会社でも作れますか?
A. 一部のカードでは設立1年未満でも発行可能です。
特に以下のカードがおすすめです。
- バクラクビジネスカード
- スタートアップ向けカード
- ライトプランカード
Q2. 審査の期間はどのくらいですか?
A. 一般的に1~2週間程度です。オンライン完結型の場合、最短で即日審査も可能です。
Q3. 審査に落ちた場合、再申込はできますか?
A. 通常3~6ヶ月の間隔を空ければ再申込が可能です。ただし、審査基準の緩いカードを選ぶことをお勧めします。
利用限度額について
Q1. 利用限度額の増額は可能ですか?
A. 以下の条件を満たすことで増額が検討されます。
- 継続的な利用実績
- 安定した決算内容
- 支払い遅延がないこと
Q2. 初回の利用限度額はいくらくらいですか?
A. 企業規模により異なりますが、一般的に
- 個人事業主:30~100万円
- 中小企業:100~500万円
- 大企業:500万円以上
Q3. 季節的な増額は可能ですか?
A. 多くのカードで一時的な増額に対応しています。事前申請が必要です。
追加カードについて
Q1. 何枚まで追加カードを発行できますか?
A. カードによって異なりますが
- 一般的なカード:3~20枚
- プレミアムカード:20~50枚
- 無制限対応カード:枚数制限なし
Q2. 追加カードの年会費は?
A. カードにより異なります。
- 無料のもの
- 1枚あたり1,000円程度
- 基本カードの年会費に含まれるもの
Q3. 追加カードの利用限度額設定は?
A. 以下の設定が可能です。
- カードごとの利用限度額設定
- 月間利用限度額の設定
- 利用可能店舗の制限
- 一回あたりの利用限度額設定
Q4. 追加カードの申込方法は?
A. 主に以下の方法があります。
- オンラインでの追加申込
- 電話での申込
- 窓口での直接申込
まとめ
法人カードの選択は、企業の経営効率化において重要な決定となります。以下の3つのポイントを押さえることで、最適なカードを選択できます。
- 企業規模と利用目的の明確化
- 年間利用予定額の把握
- 主な利用シーンの特定
- 必要な付帯サービスの確認
- コストパフォーマンスの検討
- 年会費と還元率のバランス
- 付帯サービスの活用価値
- 追加カード発行の必要性
- 運用管理の効率性
- 経費管理システムとの連携
- 請求書払い機能の有無
- 利用明細の管理のしやすさ
最後に、法人カードは単なる決済手段ではなく、企業の経営効率を向上させる重要なツールです。本記事で解説した内容を参考に、自社に最適な法人カードを選択することで、より効率的な経営が実現できるでしょう。
定期的に自社のニーズと利用状況を見直し、必要に応じてカードの見直しや追加を検討することをお勧めします。