クレジットカード控えの保管期間は何年?法律・電子保存・実務対応を徹底解説

リード文

クレジットカードの控え(利用明細・売上票・領収書)は、経理・税務上の証憑書類として適切な管理が必要です。近年の電子帳簿保存法の改正やペーパーレス化の進展により、「何年保存すればよいか」「電子で保存できるか」「いつ捨てて良いのか」といった疑問を持つ経理担当者、個人事業主、一般消費者の方が急増しています。

本記事では、2024年最新の法令・ガイドラインを踏まえ、企業・個人事業主が実践すべき保存期間、電子化対応、実務における注意点を体系的に解説します。税務調査でのトラブル回避や効率的な管理方法についても詳しくご紹介していきます。

この記事を読めば、クレジットカード控えの正しい保管方法と期間について完全に理解できるはずです。


1. クレジットカード控えの保管期間は何年必要?

基本的な保存期間の概要

クレジットカードの控えは、税法上重要な証憑書類として位置づけられており、事業形態によって保存期間が異なります。

事業形態保存期間根拠法令備考
法人7年間法人税法第126条繰越欠損金がある場合は10年
個人事業主(青色申告)7年間所得税法第148条前々年の所得が300万円以下の場合、一部書類は5年
個人事業主(白色申告)5年間所得税法第148条法定帳簿以外の書類

保存期間の起算日

保存期間の起算日は以下のように定められています。

法人の場合

  • 確定申告書の提出期限日の翌日から起算
  • 例:3月決算法人の場合、5月31日(提出期限)の翌日である6月1日から7年間

個人事業主の場合

  • 翌年の確定申告期限日(3月15日)の翌日から起算
  • 例:2024年分の確定申告の場合、2025年3月16日から保存期間開始

保存すべき書類の範囲

クレジットカード関連で保存が必要な書類は以下の通りです。

  • 利用明細書:クレジットカード会社から発行される明細
  • 売上票(お客様控え):店舗で受け取る控え
  • 領収書:店舗が発行する領収書
  • 電子明細:ウェブサイトやアプリで確認できる電子データ

これらの書類は、取引の証拠として税務上重要な役割を果たすため、法定期間中は確実に保管する必要があります。


2. 法律で決まる保存ルール(法人税法・所得税法等)

法人税法における保存義務

法人税法第126条では、以下の書類保存が義務付けられています。

帳簿書類の保存期間

  • 7年間:貸借対照表、損益計算書、総勘定元帳、仕訳帳など
  • 10年間:欠損金の繰越控除を適用する場合

証憑書類の保存期間

  • 7年間:契約書、領収書、請求書、クレジットカード控えなど
  • 10年間:欠損金の繰越控除に関連する書類

所得税法における保存義務

所得税法第148条では、個人事業主の書類保存について以下のように定められています。

青色申告者の場合

書類の種類保存期間具体例
帳簿7年間仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など
書類(重要)7年間決算関係書類、現金預金取引等関係書類
書類(その他)5年間請求書、領収書、クレジットカード控えなど

白色申告者の場合

  • 5年間:収入・支出に関する書類全般(クレジットカード控えを含む)

その他の関連法令

消費税法

  • 7年間:課税事業者は仕入税額控除の証拠書類として保存義務

割賦販売法

  • 3年間:クレジットカード加盟店における売上票等の保存

電子帳簿保存法

  • 電子取引データの電子保存義務(詳細は後述)

保存違反の罰則

法定保存期間中に書類を廃棄したり、紛失した場合の罰則

  • 青色申告の承認取消:重要書類の保存不備
  • 推計課税:帳簿書類不備による税額計算
  • 重加算税:故意の隠蔽や仮装と認定された場合

3. 電子保存は可能?電子帳簿保存法と最新ガイドライン

電子帳簿保存法の基本概要

2022年1月の電子帳簿保存法改正により、クレジットカード控えの電子保存ルールが大きく変わりました。

3つの保存区分

  1. 電子帳簿等保存:会計ソフト等で作成した帳簿の電子保存
  2. スキャナ保存:紙で受領した書類をスキャンして電子保存
  3. 電子取引データ保存:電子で授受した取引情報の電子保存

電子取引データ保存の義務化

重要な変更点

  • 電子で受領した明細・領収書は電子のまま保存が義務
  • 紙に印刷しての保存は原則不可
  • 2024年1月からは猶予期間も終了

対象となる取引例

  • クレジットカードのウェブ明細
  • オンラインショッピングの電子領収書
  • 電子メールで受領したPDF領収書
  • クラウドサービスからダウンロードした明細

スキャナ保存の要件

紙で受領したクレジットカード控えをスキャンして電子保存する場合の要件

技術的要件

項目要件詳細
解像度200dpi以上A4サイズの場合
階調カラー画像赤・緑・青各256階調以上
大きさA4サイズ以下原稿サイズに応じた設定
ファイル形式JPEG、PDF等可視性を確保できる形式

運用要件

  • 適正事務処理要件:相互けん制、定期検査、再発防止策
  • 入力期間の制限:最長約2か月以内
  • 検索機能:日付・金額・取引先での検索可能性
  • 見読可能性:14インチ以上のモニター等での表示

電子保存のメリット・デメリット

メリット

  • 省スペース:物理的な保管場所が不要
  • 検索効率:キーワード検索で素早く書類特定
  • 劣化防止:紙の経年劣化リスクなし
  • 災害対策:バックアップによる書類保護

デメリット

  • 初期コスト:システム導入・設定費用
  • 運用コスト:継続的な管理・更新費用
  • 技術的リスク:データ破損・システム障害
  • 法令対応:要件変更への対応負担

2024年最新の電子保存ガイドライン

宥恕措置の継続

  • 2024年1月以降も、一定の条件下で宥恕措置が適用
  • 税務調査で電子取引データを提示できれば、印刷保存も認められる場合あり

小規模事業者への配慮

  • 前々年の売上高が5,000万円以下の事業者への特例措置
  • 検索機能要件の緩和

4. 保管期間の例外と延長されるケース

繰越欠損金による保存期間延長

法人の場合

  • 欠損金の繰越控除を受ける場合:10年間の保存
  • 対象:欠損金が生じた事業年度とその後の各事業年度
  • 根拠:法人税法第57条、第126条

個人事業主の場合

  • 純損失の繰越控除を受ける場合:7年間の保存
  • 青色申告者のみ適用
  • 根拠:所得税法第70条、第148条

税務調査による保存期間の実質的延長

調査予告時の注意点

  • 法定保存期間経過後でも、調査に必要な書類は保管継続を要請される場合
  • 廃棄予定の書類がある場合は、調査終了まで保管

更正の請求期間

  • 法人・個人とも原則5年間(一部例外あり)
  • この期間中は関連書類の保管が推奨

特殊取引による保存期間の違い

割賦販売・分割払い取引

法令保存期間対象書類
割賦販売法3年間加盟店控え
特定商取引法3年間通信販売関連書類
法人税法7年間税務関連証憑

重複する法令がある場合

  • 最長期間を適用するのが安全
  • 例:分割払いのクレジットカード控えは7年間保存

業種別の特殊事情

建設業

  • 建設業法:工事完成から10年間(建設工事に関する書類)
  • クレジットカードで購入した建設資材等の控えは実質10年保存

医療・介護業

  • 診療報酬の返還請求:5年間
  • 設備購入等のクレジットカード控えは通常の税法期間

不動産業

  • 宅地建物取引業法:5年間(一部の取引記録)
  • 物件関連のクレジットカード利用控えは税法期間が優先

5. 紙と電子データの違いと注意点

保存形式による管理の違い

保存形式メリットデメリット注意点
紙保存簡単・確実場所・劣化リスク原本管理が重要
電子保存省スペース・検索性システム依存・要件厳格法令要件の遵守必須
混在管理柔軟性あり管理複雑・誤廃棄リスク明確な管理ルール必要

紙保存の実務ポイント

保管方法のベストプラクティス

  • 年月順のファイリング:検索効率を向上
  • 複製の作成:重要書類のバックアップ
  • 保管環境:湿気・直射日光を避ける
  • 定期点検:劣化・紛失のチェック

廃棄時の注意事項

  • 廃棄記録の作成:いつ何を廃棄したかの記録
  • 適切な処分方法:個人情報保護に配慮
  • 廃棄証明書:業者委託の場合は証明書取得

電子データ保存の実務ポイント

ファイル命名規則の例

YYYYMMDD_取引先名_金額_クレジットカード.pdf
例:20240315_ABC商事_15000_UC.pdf

フォルダ構成の例

2024年/
├── 01月/
│   ├── クレジットカード控え/
│   └── 電子明細/
├── 02月/
└── ...

バックアップ体制

  • 3-2-1ルール:3つのコピー、2つの異なる媒体、1つのオフサイト保管
  • 定期確認:データの可読性・完全性チェック
  • システム更新対応:ファイル形式の陳腐化対策

混在管理時の注意点

管理台帳の作成例

取引日取引先金額保存形式保管場所廃棄予定日
2024/3/15ABC商事15,000円ファイルA-12031/3/16
2024/3/16XYZ株式会社25,000円PDFサーバ/2024/032031/3/17

二重管理のリスク

  • 同一取引の紙・電子両方保存による混乱
  • どちらを正式保管とするかの明確化が必要
  • 電子帳簿保存法要件を満たさない電子保存は無効

6. 実務で求められる対応法(ペーパーレス化・データ管理)

クラウド会計・経費精算システムの活用

主要システムの機能比較

システム名電子帳簿保存法対応スキャン機能検索機能月額料金目安
freee2,000円〜
弥生会計2,200円〜
マネーフォワード2,500円〜

導入メリット

  • 自動仕訳:クレジットカード明細からの自動取込
  • 証憑管理:写真撮影による簡単登録
  • 承認フロー:経費申請・承認の電子化
  • 税務対応:法令要件を満たした自動保存

社内規程の整備

クレジットカード管理規程の例

第○条(保存期間)
1. クレジットカード利用に関する書類の保存期間は、法人税法に従い7年間とする
2. 電子データで受領した明細は、電子帳簿保存法の要件に従い電子保存する
3. 紙で受領した控えは、原則として原本を保管する

第○条(廃棄手続き)
1. 保存期間経過後の書類廃棄は、経理部門の確認を経て実施する
2. 電子データの削除は、バックアップ確保後に実施する

従業員教育・研修の実施

教育すべき項目

  • 法定保存期間:事業形態別の保存期間
  • 電子保存要件:電子帳簿保存法の基本ルール
  • 書類の取扱い:受領・保管・廃棄の正しい手順
  • システム操作:会計・経費精算システムの使い方

研修の頻度・対象者

  • 新入社員研修:入社時の必須項目
  • 定期研修:年1回、法令改正時
  • 管理職研修:管理責任・監督義務の理解

インボイス制度対応との連携

2023年10月開始のインボイス制度との関係

  • 適格請求書:消費税仕入税額控除の要件
  • クレジットカード控え:インボイス要件を満たさない場合は控除不可
  • 保存書類:適格請求書とクレジットカード控えの両方保管が必要

実務対応のポイント

  • クレジットカード決済時も適格請求書の取得・保管
  • 電子インボイスの適切な保存・管理
  • 免税事業者からの仕入れに関する経過措置の管理

7. いつ捨てていい?明細やレシートとの比較

廃棄時期の判断基準

基本的な廃棄タイミング

  1. 法定保存期間の経過:起算日から7年経過後
  2. 税務調査の終了:調査中は保管継続
  3. 関連手続きの完了:更正の請求期間等の経過

書類種類別の廃棄判断

書類種類主な役割廃棄時期の判断特記事項
利用明細書支払証明法定期間経過後口座引落し確認も重要
売上票(控え)取引証明法定期間経過後領収書と重複確認
領収書経費証明法定期間経過後インボイス要件確認
電子明細電子証憑法定期間経過後電子保存要件遵守必須

安全な廃棄のためのチェックリスト

廃棄前確認事項

  • □ 法定保存期間の経過確認
  • □ 税務調査予告の有無確認
  • □ 関連する減価償却資産の耐用年数確認
  • □ 継続中の取引・契約の有無確認
  • □ 他部署での保管必要性確認

廃棄実施手順

  1. 廃棄対象の特定:保存期間経過書類の抽出
  2. 最終確認:廃棄可否の再チェック
  3. 廃棄記録作成:廃棄日・対象・実施者の記録
  4. 適切な処分:個人情報保護に配慮した廃棄
  5. 記録保管:廃棄記録の保管

緊急時の対応方法

誤廃棄時の対応

  1. 被害状況の把握:廃棄した書類の特定
  2. 代替資料の収集:クレジットカード会社への明細再発行依頼
  3. 税務当局への相談:必要に応じて事前相談
  4. 再発防止策:管理体制の見直し・強化

災害時の対応

  • 保険請求:火災・水害等での書類滅失時の対応
  • 税務特例:災害による書類滅失時の特例措置
  • 代替証明:可能な範囲での取引証明資料収集

8. 保管しないとどうなる?税務調査・トラブル時のリスク

税務調査での影響

書類不備による主なペナルティ

不備の内容主な影響追加負担
証憑書類の不存在経費否認本税+延滞税
不適切な保存方法青色申告承認取消控除額の減少
故意の隠蔽重加算税35-40%の加重税率

実際の調査事例

  • ケース1:電子明細を印刷保存→電子帳簿保存法違反指摘
  • ケース2:クレジットカード控え紛失→該当経費の全額否認
  • ケース3:保存期間勘違い→早期廃棄による書類不備

経営への具体的影響

財務面での影響試算例

年間クレジットカード経費:300万円
否認率:100%(書類不備による全額否認)
法人税率:23.2%
追加税額:300万円 × 23.2% = 69.6万円
延滞税・住民税等を含めると約80万円の追加負担

信用面での影響

  • 金融機関:税務調査での指摘事項は融資審査に影響
  • 取引先:税務管理体制への不安
  • 従業員:経費精算制度への信頼失墜

民事上のトラブルリスク

消費者保護関連

  • チャージバック:クレジットカード取引の取消時の証拠不足
  • 返品・交換:購入証明書類の不備による手続き困難
  • 保険請求:購入証明の必要な保険請求での不利益

商取引上のトラブル

  • 仕入先との紛争:支払証明書類の不存在
  • 税務調査の連鎖:取引先への調査波及
  • 内部統制の問題:上場企業の場合の統制不備

リスク軽減のための対策

予防策の体系化

  1. 制度理解:法令要件の正確な把握
  2. システム整備:適切な管理システムの導入
  3. 運用管理:定期的な管理状況チェック
  4. 従業員教育:継続的な研修実施
  5. 専門家活用:税理士・会計士との連携強化

緊急時対応計画

  • 連絡体制:税務調査予告時の対応フロー
  • 資料収集:代替資料の迅速な収集方法
  • 専門家連携:顧問税理士との緊急連絡体制
  • 事後対応:指摘事項の改善計画策定

9. よくあるQ&A(見落としがちなポイント)

Q1: 電子明細をプリンターで印刷して保存しても大丈夫?

A1: 2022年1月以降は原則として不可です

電子帳簿保存法の改正により、電子で受領した取引情報(クレジットカードのWEB明細等)は電子のまま保存することが義務化されました。紙に印刷しての保存は認められません。

対応方法

  • 電子明細はPDFでダウンロードし、適切な検索要件を満たして保存
  • 電子帳簿保存法対応の会計システム活用
  • 2024年以降の宥恕措置についても専門家に確認

Q2: クレジットカード控えと領収書、どちらを保存すればいい?

A2: インボイス制度下では両方の保存が必要な場合があります

書類役割インボイス制度下での扱い
クレジットカード控え支払証明消費税控除の直接根拠にはならない
領収書・レシート取引内容証明適格請求書の要件を満たせば控除可能

実務対応

  • 適格請求書(レシート・領収書)とクレジットカード控えの両方保管
  • クレジットカード控えのみでは消費税仕入税額控除が受けられない場合が多い
  • 電子レシート・電子領収書も適切に電子保存

Q3: 個人利用分が混在するクレジットカードの控えはどう管理?

A3: 事業用部分のみ保存義務がありますが、全体管理が実務的です

法律上の取扱い

  • 事業用支出部分のみ保存義務
  • 個人的支出は保存義務なし

実務上の対応

  • カード全体の明細を保存し、事業用支出を明確にマーク
  • 年末調整・確定申告時の仕分けを効率化
  • 個人カードと法人カードの使い分けを推奨

Q4: 海外利用分のクレジットカード控えも同じ扱い?

A4: 国内利用と同様の保存義務があります

注意点

  • 外貨建て取引も円換算での記録・保存が必要
  • 為替レート変動による差額の処理記録も重要
  • 海外でのインボイス取得は困難な場合が多いため事前確認

実務対応

  • 海外利用明細の円換算記録
  • 出張・接待等の目的・相手方の明確化
  • 現地での適格請求書取得努力の記録

Q5: スキャナ保存の解像度や色彩要件を満たさない場合は?

A5: 電子帳簿保存法の要件を満たさないため、原本保管が必要です

技術的要件(再掲)

  • 解像度:200dpi以上
  • 階調:カラー画像(赤・緑・青各256階調以上)
  • ファイル形式:JPEG、PDF等の一般的な形式

要件未達成時の対応

  • 原本(紙)での保存継続
  • スキャナ・カメラ性能の向上
  • 専用アプリやシステムの活用検討

Q6: 保存期間中にクレジットカード会社が倒産した場合は?

A6: 手元の控えがより重要になります

リスク対応

  • 明細の再発行が困難になる可能性
  • 手元の控え・領収書が唯一の証拠となる場合
  • 定期的なデータダウンロード・バックアップが重要

事前対策

  • 重要明細の複数箇所保管
  • 電子明細の定期的ダウンロード
  • 代替証明書類の準備

Q7: 廃業・解散時のクレジットカード控えはどうする?

A7: 廃業・解散後も一定期間の保存義務があります

法人解散の場合

  • 清算結了の日から7年間(法人税法)
  • 清算人が保管責任を負う

個人廃業の場合

  • 廃業年の翌年3月15日から7年間(青色申告者)
  • 廃業後も個人として保管責任継続

実務対応

  • 廃業・解散前に保管体制を整備
  • 後継者・管理者への引継ぎ
  • 税理士等への保管委託検討

10. 最新ガイドライン・参考リンク

国税庁の公式ガイドライン

主要な国税庁資料

業界団体のガイドライン

日本クレジット協会

  • クレジットカード取扱いに関するガイドライン
  • 加盟店における書類管理の指針

経済産業省

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)

会計ソフト・システムベンダーの対応情報

主要ベンダーの対応状況

  • **freee株式会社:**電子帳簿保存法完全対応、API連携充実
  • **弥生株式会社:**中小企業向け機能充実、サポート体制強化
  • **株式会社マネーフォワード:**AI-OCR機能、自動仕訳精度向上

選定時のチェックポイント

  • 電子帳簿保存法要件への完全対応
  • クレジットカード明細の自動取込機能
  • 検索・保存要件を満たすデータ出力機能
  • 長期間のデータ保管・移行対応

最新の法令改正情報

2024年の主な改正点

  • 電子取引データ保存の宥恕措置継続
  • 小規模事業者向けの要件緩和
  • インボイス制度との連携強化

今後の改正予定

  • 電子インボイスの標準化促進
  • 国際的な電子商取引への対応強化
  • AI・機械学習を活用した自動処理の法制化検討

11. 【まとめ】控え管理で企業・個人が注意すべきこと

保存期間と法的要件の確実な理解

クレジットカード控えの保管について、最も重要なポイントを以下にまとめます。

基本的な保存期間

  • 法人:7年間(繰越欠損金がある場合は10年間)
  • 個人事業主(青色申告):7年間
  • 個人事業主(白色申告):5年間

電子化対応の必須事項

  • 電子で受領した明細は電子保存義務(2022年1月〜)
  • 紙書類のスキャナ保存は厳格な要件遵守が必要
  • 電子帳簿保存法の最新要件への継続的対応

実務上の重要ポイント

管理体制の整備

  1. 明確な管理規程の策定:保存期間・方法・責任者の明確化
  2. システムの適切な選定:電子帳簿保存法対応システムの導入
  3. 従業員教育の継続実施:法令改正への対応含む
  4. 定期的な管理状況チェック:保存状況の点検・改善

リスク管理の徹底

  • 税務調査リスク:書類不備による経費否認・重加算税
  • 民事トラブルリスク:取引証明の不備による損害
  • システムリスク:データ消失・システム障害への備え

今後の展望と対応方針

デジタル化の進展への対応

  • 完全ペーパーレス化に向けたシステム整備
  • AI・機械学習を活用した自動処理の導入検討
  • 国際標準に対応した電子商取引への対応準備

法令改正への継続的対応

  • 電子帳簿保存法の継続的な改正への対応
  • インボイス制度との連携強化
  • 国際的な電子商取引ルールへの対応

組織としての取り組み強化

  • 経理・税務処理の専門性向上
  • 外部専門家(税理士・会計士)との連携強化
  • 内部統制・コンプライアンス体制の継続的改善

最終的な行動指針

クレジットカード控えの適切な管理は、単なる法令遵守を超えて、企業の信頼性や経営効率に直結する重要な業務です。以下の行動を継続的に実施することで、リスクを最小化し、業務効率を最大化できます:

即座に取り組むべき事項

  • 現在の保管状況の棚卸し・問題点の洗い出し
  • 電子帳簿保存法要件への対応状況確認
  • 管理規程・マニュアルの整備・更新

中長期的な改善計画

  • システム導入・更新による業務効率化
  • 従業員のスキルアップ・専門知識習得
  • 外部環境変化への継続的対応体制構築

適切なクレジットカード控えの管理により、税務リスクの軽減と業務効率の向上を同時に実現し、健全な事業運営の基盤を築いていきましょう。法令の複雑化が進む中、専門家との連携も含めた総合的なアプローチが成功の鍵となります。


本記事の内容は2024年8月時点の法令・ガイドラインに基づいています。法令改正や運用変更がある場合は、最新の情報を国税庁ホームページ等で確認するか、税理士等の専門家にご相談ください。